この記事では、膝に変形があり、歩き出しに痛みがある方が、痛みなく歩くための方法を解説しています。
結論から言うと、歩き出す前の準備が重要になります。
あらかじめ膝を守る周囲の筋肉をうまく使えるようにして、関節を使っておくことで、1歩目からスムーズに動けるようになります。
膝の変形についてと、具体的な準備の仕方を詳しく解説します。
みなさんこんにちは。
山梨県甲斐市龍地にあります、ひびきが丘鍼治療院の院長、境田です。
「座っているところから立ち上がって、最初の数歩で膝が痛い」
「朝起きてからしばらく、膝の痛みでまっすぐ歩けない」
このようなお悩みはありませんか?
こういった方の多くは、病院でレントゲンを撮ると「膝に変形がある」「軟骨がすり減っている」と言われ、注射を打ったり痛み止めを飲んだりして、痛みに耐えていらっしゃいます。
しかし「このまま変形が進んでしまうのも怖い」「注射自体が痛いのでなんとかしたい」と来院される方が少なくありません。
こういった痛みは治療ももちろん大切ですが、ご自身で行う歩く前の準備によって、膝の負担を緩和できる可能性があります。
今回は、膝の変形で痛みが出る仕組みと、膝に変形がある方がスムーズに歩くための方法を解説します。
膝の変形(変形性膝関節症)とは?
まずは膝の変形について説明します。
これは「変形性膝関節症」といい、膝の関節の中や軟骨に変形が起こり、痛みが出る症状です。

主に、歩き出しや朝起きて最初の数歩、しばらく座っていた後の1歩目などに痛みが出ることが多いです。
進行すると、慢性的に関節に炎症が起こってしまい、水が溜まってさらに動きが悪くなったり、正座ができなくなったり、歩いていて常に痛みを感じるようになります。
程度によっては手術が必要になることもあります。
1歩目で痛みが出る理由
関節の中には「関節液」という、オイルのような液体が入っています。この液体は、関節に圧がかかると、スポンジから染み出るように出てきて関節の中を循環してくれます。

睡眠中や長い時間座った後のように、膝を動かさずにいると、膝の中の液体が少なくなります。
その状態で急に歩き出して体重がかかったとき、関節を守ってくれなくなってしまうんです。
これが、歩き出しに痛みが出る仕組みです。
つまり、関節に変形がある方は、痛みを怖がって歩かない時間が長くなると、余計に痛みが出やすくなります。
変形がある方こそ、頻繁に歩いて膝を適度に使った方が良いんです。
どうやって膝を守るのか?
変形が起こってしまうと、もう悪化する一方、一生痛いままというわけではありません。
実は皆、40代くらいになると、関節は少しくらいは変形します。
女性の方はホルモンバランスの影響で特に起こりやすいです。
変形のレベルにもよりますが、痛みが出るか出ないかは、変形の程度だけで決まるわけではありません。
他の機能で関節が守れているかどうかが重要です。
筋肉が膝を守る
膝の周りにある筋肉が、歩いたときの膝を安定させ、衝撃を吸収してくれます。
特に、膝の前側をまたぐようについている「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」という太ももの前側の筋肉は、膝に変形がある方にとって重要になります。

膝のお皿の滑りも重要
膝の関節は、太ももの骨とスネの骨でできています。
その間にあるお皿の骨(膝蓋骨)は、膝が曲げ伸ばしされるときに滑るように動いて、膝の関節がズレて動かないようにガイドしてくれたり、大腿四頭筋が正しく力を入れられるように支点になってくれたりしています。
このお皿の動きが悪くなってしまうと、筋肉にうまく力が入らず、膝の関節が正しく動かせなくなって痛みが出やすくなります。
また、関節に均等に圧がかからず、変形の進行につながりやすくなってしまいます。
痛みなく歩くためのポイント
歩くときに痛みを感じないようにするためには、いくつかの重要なポイントがあります。
筋肉の使い方のバランス
太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)は、真ん中、内側、外側と筋肉が分かれています。
この筋肉に均等に力が入ると、お皿の骨がスムーズに動いてくれます。
特に、内側にある「内側広筋(ないそくこうきん)」という筋肉の力が抜けてしまっている方が多いです。
しかし、前側の筋肉だけが働けばいいわけではありません。太ももの後ろ側の筋肉や内側、外側など、歩くときにはすべての筋肉に役割があります。すべての筋肉がその役割を全うすることで、安全に歩くことができるようになります。
膝に変形がある方は、前側の筋肉の収縮の仕方が特に重要ではありますが、他の筋肉もしっかり働いているかを確認する必要があります。
また、体重がかかったときに股関節が支えられずにねじれてしまうと、体重がかかった膝にもねじれの負荷がかかってしまいます。そのため、股関節を支えてくれるお尻の筋肉などにも、しっかり力が入る必要があります。

関節液をなじませる
しばらく動かなかった膝で急に立って歩き始めるのは、キーキーと音がする自転車をこぐようなもので、油切れを起こしている状態です。
痛みがある方は、あらかじめ立ち上がる前に膝を刺激して、関節の中に液体が馴染んだ状態を作っておくことで、1歩目から痛みのない滑らかな動きをしやすくなります。
負担の少ない歩き方
膝がねじれた状態で歩いていると、関節の中で一点に集中して負担がかかってしまいます。
椅子から立ち上がって歩くとき、身体を横にひねりながら立ち上がって、そのまま歩いてはいませんか?
ポイントは、足をしっかり身体の正面に向けて、それぞれのつま先の延長線上にある2本のラインを歩くことです。
つま先と膝を正面に向けて歩くと、ねじれが少なくなります。

つい急いで動こうとしてしまう気持ちは分かりますが、余裕があるときはゆっくり立ち上がり、身体の向きを変えてから歩き出してみてください。
1歩目を快適にする、立つ前の準備運動
筋肉を刺激する
内側広筋(ないそくこうきん)を刺激する
お皿を斜め上に引き上げる筋肉の「内側広筋」を刺激していきます。
お皿の内側斜め上のあたりを、筋肉が少し動く程度の力で、10回ほど軽くチョップ(叩く)してあげてください。

筋肉が一瞬、勢いよく引き伸ばされることで、反射で力が入りやすくなります。
床や布団で行う場合は、座って片足を立てて行ってください。
椅子で行う場合は、浅く座って足を軽く前に出した状態で行ってください。


太ももの筋肉を全体的に刺激する
座った状態で、両手を太ももの裏側に回し、軽く膝が曲がった状態で手を組んで支えます。
手を太ももの裏で真下(床方向)に押し込むイメージで、膝を軽く伸ばしながら、手を下に押します。
10秒間力を入れて、その後緩めます。これを3〜5回ほど行ってください。

関節を刺激する
歩く前に関節に刺激を与えて、関節液を出してあげます。
座った状態で行う場合は、まず膝を90度に曲げた状態で、つま先立ちのように踵(かかと)を浮かせ、ドンと勢いよく踵を床に打ち付けます。
これを10回ほど行ってください。

どうしても大きな音が出てしまうので、環境的に難しい方は、立ち上がって膝を軽く曲げた状態で、片足に体重をかけてあげるだけでも大丈夫です。
このときも、ゆっくり体重をかけるだけでなく、少し勢い(リズミカルな刺激)をつけて体重をかけてあげてください。

この刺激を行ってから歩き出すことで、関節がスムーズに動きやすくなります。
まとめ
膝に変形がある方は、最初の数歩で痛みが出るのが一番多い症状です。
変形した骨の形自体を変えることはできませんが、正しい準備と動かし方で、変形があっても特に困らずに生活ができるようになる可能性は十分にあります。
歩き出しに痛みがある方は、今回ご紹介した方法をぜひ試してみてください。
それでも痛みがどうしても出てしまう、あるいは他にも痛みがある場面が多いという方は、膝以外の部分にも原因があるかもしれません。
しかし、その原因をご自身で特定し、改善していくのは非常に難しいものです。
痛みをなんとかしたい方は、根本的な解決を目指すためにも、我慢し続けずに治療を受けてみてください。
当院でも、鍼治療と整体治療を組み合わせ、膝の痛みに対して一人ひとりの状態に合わせた治療を行います。
理想とするのは、特に意識しなくても膝を守る動きが自然にでき、快適に歩き出せる状態です。
全身が連動してスムーズに動くようになり、快適に歩くことで、さらに痛くなりにくい身体を作っていけるようにお手伝いをしていきます。
もう毎回我慢しながら歩くのは嫌だという方は、お気軽にご相談ください。
一緒に解決していきましょう。


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