この記事では、骨盤の痛みを繰り返してしまっていた方が解決していくための治療の一例をご紹介しています。
この患者さんは、元々骨盤を留める靭帯(じんたい)が柔らかく、それを筋肉で補い、負担の左右差を埋めることで痛みが落ち着き、安定した状態を維持できるようになりました。
痛みを繰り返してしまう仕組みと改善方法を詳しく解説しています。
皆さんこんにちは。
山梨県甲斐市龍地にあります、ひびきが丘鍼治療院の院長、境田です。
「片方の骨盤に急激に痛みが走ることがある」
「骨盤が痛くなるぎっくり腰を何回も繰り返している」
この記事は、このようなお悩みを抱えている方のお役に立てるかもしれません。
大した動きはしていないのに急激に強い痛みが走って、ぎっくり腰のような状態になる。
それを何回も繰り返していると、日常生活での些細な動きでさえも怖くて仕方がなくなってきますよね。
こういった繰り返す痛みは、身体の特徴やバランスに合わせて適切に対処していくことで、解決できる可能性があります。
今回は、骨盤を繰り返し痛めてしまう理由とその改善方法をご紹介します。
骨盤を繰り返し痛めてしまう40代女性 Yさんの事例
福祉系の相談員をされている40代女性のYさん。
お仕事の前半は訪問活動のため車の運転が多く、後半はデスクワークが多いというスケジュールを過ごされています。
痛めてしまったきっかけは、自宅であぐらをかいて座っていたところ、お子さんが片膝に乗り込んできた瞬間でした。
そこから、座っている位置を変えようと身体をずらした時や、車から降りる瞬間など、休んで痛みが緩和してはまた急激に痛める、というサイクルを繰り返してました。
Yさんは車での移動が多く、1日で数十キロも運転することがありました。
加えて、移動に使用する社用車が小さく、シートが硬い車だったため、運転時間が長い日は痛みが悪化してしまうことも多々あったそうです。
腰の痛みについて
Yさんの場合、痛めてしまっていた場所は右の「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」という骨盤の関節でした。
仙腸関節とは、骨盤の真ん中にある「仙骨(せんこつ)」と、その横にある「腸骨(ちょうこつ)」を繋いでいる関節になります。
本来は大きき動くことがないように靭帯でガッチリと固定されているのですが、Yさんの場合はこの関節や靭帯を複数回にわたって痛めてしまっていました。

なぜ痛みが繰り返されていたのか?
痛みを繰り返し引き起こしてしまうのには、いくつかの原因がありました。
1. 靭帯の柔らかさ
Yさんの場合は、全体的に靭帯が非常に柔らかく、関節が一般的な可動域よりも大きく動きすぎてしまうような特性がありました。
女性には生まれつき靭帯が柔らかい方が多く、何回も繰り返し痛めてしまっている部分は、靭帯が伸びてだんだんと緩くなりやすい場合もあります。
2. 骨盤を支える筋肉に力が入っていない
人間の身体は、重力に負けないように起きている間、背骨や骨盤を支えるために小さな筋肉(インナーマッスル)が働くようになっています。
Yさんの場合は、こういった筋肉に力が入リづらい状態になってしまっていました。

さらに、筋肉には本来、引き伸ばされ具合を感知して「どれくらいの強さで力を入れるべきか」を調整させるための、センサーのような神経があります。
Yさんのような状態の方は、筋肉のセンサーが鈍感になってしまっていて、引き伸ばされても力を入れるタイミングが遅れてしまいます。
そのため、急激な動きが起きた際に関節を守りきれず、痛めてしまうことが多くなります。
3. 上半身との引っ張り合い
身体を支えきれずに丸まった状態で座る姿勢が多くなってしまうと、背中も大きく丸まってきます。
背中が丸まると、脇の筋肉などの緊張が強くなります。これがさらにお尻の筋肉と連動して引っ張り合いを起こすため、座っている間に上半身と下半身の引っ張り合いが起きることになってしまいます。
この状態で急激な動きが加わると、関節を支えきれず痛めてしまう可能性が高くなります。
4. 運転などでの足の使い方の左右差
Yさんの場合、車が狭いこともあってか運転時に右足が外側に開きやすく、元々左重心で立ったりする習慣がありました。
右側の骨盤周囲の筋肉に頼る機会が少なくなっていたため、左側の方が右側よりも安定感が高く、結果として筋力の弱い右側を痛めやすい状態になっていました。
Yさんへの治療内容
Yさんへの施術において、一番の目的は「負担の少ない座り姿勢を定着させていくこと」でした。
上半身の丸まりを改善する
鍼を使って、上半身が丸まる方向に引っ張ってしまう原因となっている筋肉を緩めました。
そして、背中と骨盤がうまく連動して動くように、動きを邪魔している背中と関連する部分にも鍼を打ちました。
背骨・骨盤を支える筋肉を使えるようにする
重力に抵抗する筋肉を刺激することで座り姿勢を安定させ、突発的な動きが起きたときにも筋肉がしっかりと反応して関節を守れるようにしていく必要がありました。
特に右側は力が入リにくく鈍感になっていたため、集中的に筋肉へ刺激を与え、反射を利用して力が入るようにしていきました。
そして、背中の丸まりを起こしていくために、背中の筋肉も同時に使えるように調整をしました。
こういった重力に抵抗する筋肉は、呼吸とも深く関連をしています。
鍼治療で呼吸を深くし、その上で大きく筋肉を動かす施術を行うことで、効果的に力が入りやすい状態を作っていきます。
なお、治療中やご自宅でのきつい筋トレなどをしてもらうことは一度もありませんでした。。
正しい座り姿勢を覚える
座るときは、骨盤の「坐骨(ざこつ)」という骨が一番垂直に起きている状態で座るのが、最も負担が少なくなります。
この座り姿勢を身体で覚えてもらい、時々お仕事中に意識してもらうようにしていきました。
そして、運転中の膝の角度や、車に合わせたシートの位置調整などを徹底していきました。

治療後の経過
痛みが強いタイミングでは、週2回のペースで治療を行いました。
徐々に痛みがなくなり、強い痛みが引いた段階で期間を1週間あけ、5回目の施術で日常生活に支障がないレベルまで痛みが治まりました。 そこからは2週間へと間隔をあけ、現在は痛みのない状態を維持できるようになっています。
毎回、背骨や骨盤まわりの安定感を検査していますが、徐々に安定感が高まり、重力に抵抗するための力がしっかりと備わってきています。
骨盤の痛みを繰り返していた Yさんの声
お預かりしたアンケートをご紹介します。

Q:何が決め手で当院を受診されましたか?
A:以前先生にお世話になっており、腰を再度痛めた際に先生の顔が浮かび受診し、痛みの緩和と良い状態の維持ができる身体作りをしていきたいと考えたため。
Q:どのような症状にお悩みで当院を受診されましたか?
A:持続的な腰の痛み、左脇腹の痛み。
Q:実際に受診されて良かったことをお書きください。
A:・受診後、身体の痛みが立ちまち緩和され、回復が早まったこと。
・日常生活での身体の使い方を教えていただいたことにより自走可能(自分で管理できる)となること。
・身体の使い方について学ぶことができること。
家族でお世話になっています。今後ともよろしくお願いします。
このような嬉しいお声をいただくことができました。
まとめ
今回は、右の骨盤にある仙腸関節を繰り返し痛めてしまっていたYさんの改善事例をご紹介しました。
今回のポイントをまとめます。
- 日常的な身体の使い方によって、身体の強さ(筋力や安定感)にも左右差が出る。
- 生まれつき靭帯が柔らかい方は、関節を支える筋肉(インナーマッスル)を使えるようになる必要性がとても高い。
- 筋肉の緊張バランスを整えつつ、自然と筋肉で関節を守れるようにしていくと、繰り返しのケガを起こしにくくなる。
- 負担のかからない姿勢を理解し、時々自分自身で修正することで、徐々に身体を支える筋肉が使えるようになってくる。
Yさんのように、何度も繰り返し痛めてしまっている方も、身体を支える本来の機能を取り戻していくことで、症状を根本から改善していくことができます。
「何度も繰り返しているからもう治らないんだ」と諦めてしまう前に、原因をしっかりと見直し、身体の機能を取り戻す専門的な施術を一度受けてみることをおすすめします。
もう痛めるのを繰り返したくない、根本から身体を良くしていきたいとお考えの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
しっかりと原因を見極め、痛みの出ない身体を一緒に作っていきましょう。


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